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【SS】ビターチョコの味~甘いんだけどほんのり甘い~ 



『今日裏門で待ってるから。』


テロリストからそうメールが来たのは溜まりまくっていた資料がやっと揃え終わった頃。
さっさと帰ってさっさと寝ようと考えていた時の事だ。

疲れ切っていた俺は
『分かった。今から行くから待ってろ。』
とだけ返事を送って車へ乗り込んだ。


20分後
T大の裏門へと向かう俺の視界に映ったのは愛しの忍チン…らしき人。



な、なんだあれは………


今俺の目の前には大量の紙袋を持った忍と忍の友達であろう、同じく紙袋を抱えた数人の男子がいた。
近くで車を停めるとそれに気付いた忍がドアを開け、その途端次々と紙袋の山を詰め込んで行く。

「お、おい忍!なんだこの大荷物は…」

声をかけるがテロリストの元へは全く届かず、忍とその友達はせっせと座席・トランクに紙袋を詰めていた。

今日………何かあったか………?

嫌な予感がした俺は直ぐさま手帳を開き確認した。
誕生日はちゃんと覚えてるし………今日は………?

はっと気付いて手を止めた。

今日は2月14日…

バレンタインデーだ。



「ありがと。じゃ、またな。」

荷物を詰め終わった忍は笑顔で友達に別れを告げて車に乗り込んで来た。

今は俺にも笑えとかそんな事を考える暇はない。

「あの………忍チン??
もしやこれは全てチョコレートなのでしょうか……??」

まさかこれ全部がチョコレートだなんて、考えるだけでも甘い味が口に広がる。
というか常識を考えてこんなにチョコレートを貰う男がこの世にいるとは思えない。

しかし、そんな俺の問い掛けに「そうだけど。」と面白くなさそうにシートベルトを付けながら答える忍。

「全部貰って来たのか。凄いな。」

「………断り…切れなくて。」

さいですか…………。
こんな漫画みたいな男が…………。
そうだ。
こんな漫画の主人公みたいな男がこんなオジさんと付き合っていて良いのだろうか。
もしこの事実を知ったらチョコを渡した女の子達もがっかりするし、納得がいかないのではないか。


…………………いやいやいや!!

俺も忍もこの関係を世間にバラす事なんかない。
心配なんてする必要がない。


それに今更―――――――――

こんなに可愛いテロリストを手放す事なんて出来ない。



──────────────────────────────────────────



マンションの駐車場に車を停め、何とか頑張って紙袋を忍の部屋へと運び、リビングにチョコの山を作る。


「ふぅ」


疲れてフラフラの俺はソファに横になりながら紙袋の中身を流し見る。
改めて見ても凄い数である。
去年も多かったがここまでじゃなかったはずだが…。
手作りにブランド品など様々なチョコがカラフルに可愛くラッピングされている。

「凄いモテ様でございますこと…。」

思わずため息と共に小さく呟く俺にコーヒーカップを2つ持った忍が近付いてくる。

「高校の時の奴や他校の人達までわざわざ大学まで押し寄せて来て…。今年ほはんと困るんだよな、そういうの。」

忍はぶつぶつと嫌味にしか聞こえない文句を並べながらも、一つ一つチョコを見ていった。
よく見るとくれた子の名前と学校とを紙に書き留めている。

「お前それ、何してんだ?」

俺は起き上がって忍が入れてくれたコーヒーを飲みながら聞いた。

「ホワイトデーの為のメモ。」

「うわっ。お前毎年こんな大量にお返ししてんのか?意外というか律儀というか意外というか……」

「意外だろうな。今年から始めた事だし。」

「そうなのか?何で今年は…」

ここまで言って俺は話すのをとめた。
忍が悲しい瞳で俺を見て来たから。

「な、何だ。」

「考えるようになったんだよ。」

「何を。」

「女の子達の気持ち。」

何だかドキドキしてしまうのは、チョコの甘い香が綺麗だけれどどこか幼い忍の顔を美しく煽るから。

「ほー。どんな。」

だから断じて抱きたい訳じゃない。俺は疲れているのだから。

「気持ちが報われない。って、結構…かなりキツいんだよ。」

そう言って俯く忍はちょっと泣きそうで、でも強く俺を睨んで来た。

「だから……………うわっ!」

俺は忍が言い終わらない内に忍の体を持ち上げて隣に座らせた。
そして頭を俺の胸に押し付ける。

「だから…………今は幸せだな、忍。」

耳元で囁くと頬を染め、体を固くする。顔を覗き込むと今度は嬉しくて泣きそうな顔をしている。
俺は胸を撫で下ろし、もう一度囁いた。


―――さっき車の中で思った事を。








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[2009/02/26 11:13] 純情 | TB(0) | CM(0)

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